劇場版「ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国」

心優しき船医が動物たちの王に!?

2002年に公開された『ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国』は、劇場版ワンピースシリーズの第3作目にあたる作品です。麦わらの一味に加わったばかりのトニートニー・チョッパーにスポットライトを当て、彼が珍獣たちの住む島で大活躍(?)する心温まる物語が描かれています。

作品の概要

劇場版第3作。原作にはないオリジナルストーリー(非正史)。時系列的には、アラバスタ編の最中、麦わらの一味にチョッパーが加わり、ビビと共に航海している頃にあたります。(アニメ第91話と92話の間あたり)

「2002年春 東映アニメフェア」にて、短編『ONE PIECE 夢のサッカー王!』と同時上映されました。前作『ねじまき島の冒険』と同様、ファミリー層向けの興行形態です。

麦わらの一味の船医、トニートニー・チョッパーがメインキャラクターとして大きくフィーチャーされています。

ストーリー:チョッパー、動物王になる!?

次なる島を目指して航海を続けるルフィたち。その途中、海底火山の噴火に巻き込まれ、ゴーイングメリー号は大きく吹き飛ばされてしまいます。その衝撃で、船医のチョッパーが船から落ちて行方不明に!

ルフィたちが辿り着いたのは、地図に載っていない奇妙な島「王冠島」。そこは、キリンのようなシマウマ、ゴリラのようなゾウなど、見たこともない「珍獣」たちが平和に暮らす不思議な楽園でした。

一方、島に飛ばされたチョッパーは、島の珍獣たちから空から降ってきた「伝説の動物王」だと勘違いされ、戸惑いながらも王様として崇められてしまいます。

しかし、平和に見えた王冠島には危機が迫っていました。島のどこかに眠るという「王なる宝」の強大な力を狙う、元動物学者のバトラー伯爵とその手下たちが、ツノを持つ動物たちを次々と襲っていたのです。島で出会った人間の少年モバンビーと共に、チョッパーは動物たちを守るため、そしてルフィたちと再会するために立ち上がります。

果たして、麦わらの一味はチョッパーを見つけ出し、再会できるのでしょうか? そして、“動物王”チョッパーと少年モバンビーは、バトラー伯爵の魔の手から珍獣たちを守り、島の平和を取り戻すことができるのでしょうか?

登場人物

麦わらの一味

  • モンキー・D・ルフィ (声: 田中真弓): いつものように仲間思いで、チョッパーを探し、島の危機に立ち向かいます。
  • ロロノア・ゾロ (声: 中井和哉): 相変わらずの方向音痴を発揮しつつも、頼れる剣技で敵と戦います。
  • ナミ (声: 岡村明美): 宝の匂いには敏感ですが、チョッパーや島の動物たちを心配する優しさも見せます。
  • ウソップ (声: 山口勝平): 臆病ながらも、パチンコを武器に奮闘します。
  • サンジ (声: 平田広明): レディであるナミを守りつつ、得意の足技で敵を蹴散らします。
  • トニートニー・チョッパー (声: 大谷育江): 本作の主役。ひょんなことから動物王に祭り上げられてしまいますが、持ち前の優しさと医学の知識、そしてランブルボールによる変形を駆使して戦います。
  • (ネフェルタリ・ビビ (声: 渡辺美佐) & カルー (声: 粗忽屋):) 時系列的には同行しているはずですが、本作には登場しません。

オリジナルキャラクター

  • モバンビー (声: 折笠愛): 王冠島に住む人間の少年。幼い頃に両親を亡くし、動物たち、特に先代の動物王キリンライアンに育てられました。チョッパーと共にバトラー伯爵に立ち向かいます。
  • バトラー伯爵 (声: 江原正士): 本作の悪役。元々は動物学者でしたが、学会を追放された過去を持ちます。王冠島に眠る「王なる宝」(代々の動物王のツノ)を狙い、その強大な力を手に入れようと画策します。特殊な音色を奏でるバイオリンで動物を操る能力も持ちます。
  • ヘビー総裁 (声: 関智一): バトラー伯爵の手下。大蛇を身にまとった怪力の男。サンジと対決します。
  • ホットドッグ将軍 (声: 郷里大輔): バトラー伯爵の手下。サングラスをかけた犬のような風貌の剣士。ゾロと対決します。
  • ハゲオウム (声: 青野武): 先代動物王キリンライアンに仕えていた鳥。チョッパーを新たな王と信じ込みます。
  • カラスケ (声: 藤田淑子): モバンビーと仲の良いカラス。
  • キリンライアン: 先代の動物王。故人。

制作スタッフ

  • 原作: 尾田栄一郎
  • 監督: 志水淳児 (劇場版第1作、第2作に続き担当)
  • 脚本: 橋本裕志 (劇場版第2作に続き担当)
  • キャラクターデザイン・作画監督: 小泉昇 (TVアニメシリーズのキャラクターデザインも担当)
  • 公開日: 2002年3月2日
  • 上映時間: 約56分
  • 興行収入: 20億円
  • 音楽: 田中公平
  • 製作: 東映、集英社、フジテレビジョン、バンダイ
  • 製作会社: 東映アニメーション
  • 美術監督: 吉池隆司、佐南友理
  • 色彩設計: 塚田劭
  • デジタル撮影監督: 梶原裕美子
  • CGディレクター: 猪原英史

作品の評価と興行成績

興行収入

20億円。前作『ねじまき島の冒険』の30億円には及びませんでしたが、安定した興行成績を記録しました。

評価

前作同様、評価は分かれる傾向にあります。

チョッパーの可愛らしさや活躍、心温まるストーリー、個性的な珍獣たちのデザイン、子供にも分かりやすい内容などが評価されています。チョッパーファンにとっては特に楽しめる作品という声が多いです。

否定的な意見としては、ストーリーの独創性の欠如、敵キャラクターの魅力不足、バトルシーンの迫力不足、全体的なスケールの小ささなどが指摘されることがあります。前作や後の作品と比較して、やや物足りなさを感じるという意見も見られます。

主題歌と関連音楽

DASEIN「まぶしくて」 (作詞・作曲: DASEIN)

ヴィジュアル系ロックバンドDASEINによる楽曲。友情や前向きな気持ちを歌った爽やかなロックナンバーです。前作の「Believe」ほどの知名度はありませんが、映画のエンディングを飾りました。

同時上映短編『ONE PIECE 夢のサッカー王!』:

約5分間の短編。麦わらの一味と歴代の悪役たちがサッカーで対決するという、オールスター的なお祭り企画。2002年の日韓ワールドカップ開催に合わせた内容となっています。

主題歌は前作に続きFolder5が担当した「Ready!」。

関連URL

まとめ:チョッパーの魅力満載!心温まる動物たちの物語

『ONE PIECE 珍獣島のチョッパー王国』は、麦わらの一味の人気マスコット、チョッパーの優しさと成長を描いた、ファミリー層向けの心温まる作品です。個性豊かな珍獣たちとの交流や、島の少年モバンビーとの友情、そして「動物王」としての葛藤と決断が見どころです。

ストーリーやスケール感は比較的シンプルですが、チョッパーの可愛らしさや様々な変形を活かしたアクションシーンはファン必見です。特にチョッパーが好きな方や、動物がたくさん登場する賑やかな雰囲気が好きな方におすすめの劇場版です。アラバスタ編の冒険の合間に、少し息抜きできるような、ほのぼのとした魅力を持った一作と言えるでしょう。

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