劇場版「ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険」

出展:Abema TV

2003年3月1日に公開された『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』は、劇場版ワンピースシリーズの第4作目にして、記念すべき初の長編映画です。上映時間約95分というスケールで、より深く掘り下げられた物語とキャラクター描写が展開され、当時のファンの期待を大いに高めました。

作品の概要

劇場版第4作。シリーズ初の長編作品。原作には描かれていないアニメオリジナルのストーリー(非正史)。時系列的には、アラバスタ編が終わり、麦わらの一味にニコ・ロビンが加わった直後(アニメ第131話~143話頃)にあたります。

ニコ・ロビンが劇場版に初登場。主題歌に人気ロックバンド BUMP OF CHICKEN を起用したことも話題となりました。

ストーリー:世紀の大海賊レース「デッドエンド」開幕!

次なる冒険を求めて航海を続ける麦わらの一味。彼らが立ち寄った港町ハンナバルは、一攫千金を狙う荒くれ者の海賊たちが集結し、異様な熱気に包まれていました。その理由は、数年に一度開催されるという伝説の大海賊レース「デッドエンド」の開催が迫っていたからです。

「デッドエンド」は、スタート地点以外のルールが一切存在しない、文字通りのサバイバルレース。季節や天候すらも参加者に牙を剥く過酷なコースを、海賊たちはそれぞれの船と能力、そして悪知恵を駆使してゴールを目指します。優勝者には莫大な賞金(3億ベリー)と永遠の名誉が約束されるというこのレースに、ルフィの冒険心とナミの賞金への期待が燃え上がります。

かくして、麦わらの一味もゴーイングメリー号でデッドエンドへの参加を決意。しかし、そこには元海軍将校にして恐るべき悪魔の実の能力者ガスパーデ将軍や、クールな凄腕の賞金稼ぎシュライヤ・バスクードといった強敵たちが待ち受けていました。

レースがスタートすると、早速ガスパーデ一味からの妨害や、コース自体の危険がルフィたちを襲います。仲間たちと協力し、時には奇策を繰り出しながら困難を乗り越えていく一味。しかし、レースが進むにつれて、このデッドエンドの裏に隠された巨大な陰謀と、ガスパーデの真の目的が明らかになっていきます。果たして麦わらの一味は、無事にゴールまで辿り着き、勝利を掴むことができるのでしょうか?そして、謎めいた賞金稼ぎシュライヤが胸に秘めた過去とは…?

登場人物

麦わらの一味

  • モンキー・D・ルフィ (声: 田中真弓): 冒険とレースのスリルに目を輝かせる船長。ガスパーデの野望に真っ向から立ち向かいます。
  • ロロノア・ゾロ (声: 中井和哉): 三刀流の剣士。レース中の戦闘でもその剣技を発揮します。
  • ナミ (声: 岡村明美): 3億ベリーの賞金に目が眩み、レース参加を強く後押し。航海士としてメリー号を導きます。
  • ウソップ (声: 山口勝平): 狙撃手として、様々な秘密兵器でメリー号を援護します。
  • サンジ (声: 平田広明): コックでありながら、強力な蹴り技で敵を薙ぎ払います。
  • トニートニー・チョッパー (声: 大谷育江): 船医。動物たちとのコミュニケーション能力も活かされる場面があるかもしれません。
  • ニコ・ロビン (声: 山口由里子): 本作が劇場版初登場。元バロックワークス副社長というミステリアスな雰囲気を纏いつつ、考古学者としての知識やハナハナの実の能力で一味をサポートします。

オリジナルキャラクター

  • ガスパーデ将軍 (声: 石田太郎): 本作のメインの敵。元海軍本部将校でありながら、自らの艦隊を率いて海賊となった男。体を飴状に変化させられる(アメアメの実と推測される)能力を持つ。冷酷な野心家で、レースを利用して恐ろしい計画を企んでいます。
  • シュライヤ・バスクード (声: 宮本充): ガスパーデを執拗に追い続ける一匹狼の賞金稼ぎ。クールな佇まいと高い戦闘能力を持ちますが、その瞳の奥には悲しい過去と復讐の炎を秘めています。本作で非常に人気の高いオリジナルキャラクターです。
  • ニードルス (声: 小杉十郎太): ガスパーデの腹心。全身から針を出すことができる(悪魔の実の能力かは不明)。シュライヤと因縁があるようです。
  • ビエラ (声: 永井一郎): ガスパーデの船「サラマンダー号」の老ボイラー技師。ガスパーデに無理やり協力させられています。
  • アナグマ (声: 酒井美紀 – 特別出演): ビエラ爺さんを慕い、助けようとする心優しいアナグマ。

制作スタッフ

  • 原作: 尾田栄一郎 (週刊少年ジャンプ連載)
  • 監督: 宇田鋼之介 (TVシリーズ初代シリーズディレクター)
  • 脚本: 菅良幸
  • 音楽: 田中公平、浜口史郎 (浜口氏は本作が劇場版初参加)
  • キャラクターデザイン・作画監督: 小泉昇
  • 公開日: 2003年3月1日
  • 上映時間: 約95分 (資料により90分との記載もあり)
  • 興行収入: 20億円
  • 主題歌: BUMP OF CHICKEN「sailing day」
  • アニメーション制作: 東映アニメーション

作品の評価と興行成績

興行収入

20億円。これは当時の劇場版シリーズの成功ラインであり、安定した人気を示しました。しかし、後の『FILM』シリーズ(『STRONG WORLD』以降)のようなメガヒットには至っていません。

評価

批評家やファンからの評価は概ね肯定的で、Filmarksで平均3.5/5、Yahoo!映画で3.6/5といったスコアが付けられています。

シリーズ初の長編作品としての満足感、ルール無用のレースという設定のスリル、魅力的なオリジナルキャラクター(特にシュライヤの人気は根強い)、BUMP OF CHICKENによる主題歌「sailing day」と作品のマッチング、当時の『ONE PIECE』らしい冒険活劇の雰囲気(覇気登場以前の肉弾戦中心のアクションなど)が高く評価されています。

反面、一部のファンからは、シュライヤの過去の掘り下げがやや物足りないという意見や、後の作品と比較するとストーリーの複雑さやスケール感で見劣りするという指摘もあります。

主題歌と関連音楽

主題歌: BUMP OF CHICKEN「sailing day」

当時絶大な人気を誇っていたロックバンド BUMP OF CHICKEN が初めてアニメ映画の主題歌を担当したことで大きな話題となりました。疾走感あふれる楽曲が、大海原を駆ける冒険のイメージと見事に合致し、映画の魅力を一層高めています。

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まとめ:『ONE PIECE』劇場版の新たな地平を切り開いた冒険レース!

『ONE PIECE THE MOVIE デッドエンドの冒険』は、シリーズ初の長編作品として、より濃密なドラマと迫力のアクションを描き出すことに成功した意欲作です。ルール無用の海賊レースという舞台設定はスリル満点で、麦わらの一味のチームワークや個性が光ります。ニコ・ロビンの劇場版デビュー作としても見逃せません。

特に、本作で登場したオリジナルキャラクター、賞金稼ぎのシュライヤ・バスクードは、そのクールな魅力と背負ったドラマ性から非常に人気が高く、映画全体の評価を引き上げています。また、BUMP OF CHICKENによる主題歌「sailing day」は、多くのファンの心に深く刻まれる名曲となりました。

後の『FILM』シリーズのような壮大なスケールとは異なるかもしれませんが、覇気登場以前の、仲間との絆と個々の能力で困難に立ち向かう、古き良き『ONE PIECE』の冒険活劇の魅力が詰まっています。タイムスキップ前のルフィたちの活躍を、ぜひこのレースで体感してください。

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