
『ONE PIECE』の壮大な物語は、すべてこの「イーストブルー編」から始まります。主人公モンキー・D・ルフィが海賊王を目指して故郷を旅立ち、信頼できる仲間たちと出会いながら「偉大なる航路(グランドライン)」を目指す、冒険の序章が描かれています。
この記事では、TVアニメ第1話から第61話にあたるイーストブルー編のあらすじ、立ちはだかった強敵たち、そして作品の魅力を余すところなくお伝えします。すべての冒険の原点である、彼らの最初の旅路を振り返ってみましょう。
ストーリー
イーストブルー編は、ルフィが個性豊かな仲間たちと出会い、麦わらの一味を結成していく過程を描いた物語です。各島で待ち受ける強敵との戦いや、仲間たちとの間に芽生える固い絆が、感動的なドラマを生み出します。
フーシャ村〜シェルズタウン(1話〜3話)
「海賊王におれはなる!!!!」その大きな夢を胸に、ルフィはたった一人、小さな樽の船で大海原へと旅立ちます。道中、アルビダ海賊団に捕らえられていた気弱な少年コビーを救い、友人となったルフィ。彼の夢である「海軍将校」になるため、海軍基地のある島「シェルズタウン」へと向かいます。そこで出会ったのは、基地を支配するモーガン大佐に捕らえられ、処刑を待つ〝海賊狩りのゾロ〟でした。彼の強さと信念に惚れ込んだルフィは、一方的に仲間になることを宣言。モーガン親子を打ち破り、ゾロを最初の仲間として迎え入れます。
オレンジの町(4話〜8話)
次なる目的地を目指す途中、大きな鳥に連れ去られたルフィは「オレンジの町」に落下。そこは〝道化のバギー〟率いるバギー海賊団に支配されていました。ルフィは、海賊専門の泥棒を自称する少女ナミと出会います。彼女はバギーから「偉大なる航路」の海図を盗み出そうとしていました。当初はルフィを利用するだけだったナミですが、町の人々を守るため、己の能力を過信して無謀な戦いを挑むルフィの姿に心を動かされ、一時的に手を組むことに。ルフィは「バラバラの実」の能力に苦戦しながらも、機転を利かせた戦法でバギーを撃破。ナミを(仮ではあるものの)航海士として船に乗せます。
シロップ村(9話〜18話)
一行は海賊船を手に入れるため、平和な「シロップ村」に上陸します。そこで出会ったのは、村一番の嘘つき少年ウソップ。彼は病床の少女カヤを元気づけるため、毎日嘘の冒険譚を語り聞かせていました。しかし、そのカヤの執事を務めるクラハドールこそ、かつて世間を震撼させたクロネコ海賊団の元船長〝百計のクロ〟であったことが発覚します。カヤの財産を奪うため、3年間も猫をかぶり続けていたクロの恐ろしい計画を知ったウソップ。村人たちは彼の言葉を信じませんが、彼はたった一人で村を守ることを決意します。その勇敢な姿を見たルフィたちは、ウソップに加勢。夜明けの海岸で、クロネコ海賊団との激闘が繰り広げられます。
海上レストラン・バラティエ(19話〜30話)
ゴーイング・メリー号を手に入れ、航海を続ける一行は、コックを求めて海上に浮かぶ「海上レストラン・バラティエ」を訪れます。そこで出会ったのは、凄腕の足技を持つ副料理長サンジ。彼はオーナーであり〝赫足のゼフ〟の異名を持つ元海賊の恩に報いるため、レストランで働いていました。そんな中、〝偉大なる航路〟から敗走してきた〝首領・クリーク〟率いる大艦隊がレストランを襲撃。さらに、ゾロの前に現れたのは、“王下七武海”の一人である最強の剣士ジュラキュール・ミホーク、戦場は混沌を極めます。ミホークに完膚なきまでに敗れ、己の未熟さを知ったゾロ。ゼフの恩と仲間を守るため、命を懸けて戦うサンジ。そして、サンジをコックとして仲間に引き入れるため、ルフィは5000人の部下を率いるクリークとの無謀な戦いに挑みます。
ココヤシ村とアーロンパーク(31話〜44話)
サンジを仲間に加えたのも束の間、ナミがメリー号と財宝を奪い、故郷である「ココヤシ村」へと去ってしまいます。彼女を追い、一行がたどり着いたその島は、魚人海賊団〝アーロン一味〟によって長年支配されていました。そこでルフィたちは、ナミの隠された過去を知ります。彼女は、魚人の手から村を買い戻すため、1億ベリーを集めるという契約をアーロンと交わし、たった一人で孤独な戦いを続けていたのです。しかし、その契約はアーロンの策略によって反故にされ、絶望の淵に立たされたナミは、遂にルフィに助けを求めます。「当たり前だ!!!!!」。仲間からの魂の叫びを受け、ルフィたちはアーロンパークへと乗り込み、イーストブルー最強と謳われた魚人海賊団との全面戦争に突入します。
ローグタウン(45話〜53話)
アーロンパークでの激闘を終え、ナミを正式に航海士として迎えた麦わらの一味。いよいよ「偉大なる航路」への入口、「始まりと終わりの町」ローグタウンに到着します。かつて海賊王ゴールド・ロジャーが生まれ、そして処刑されたこの町で、ルフィは処刑台に上り、シャンクスとの再会を誓います。しかし、そこへルフィを追ってきたバギーやアルビダ、そして〝白猟のスモーカー〟の異名を持つ海軍大佐が襲来。絶体絶命の状況に陥るも、謎の男ドラゴンに助けられ、奇跡的な嵐にも後押しされて、一行は間一髪で出航。「偉大なる航路」へと舵を切るのでした。
イーストブルーを脅かした海賊団
麦わらの一味が「偉大なる航路」にたどり着くまでに、数々の個性的な海賊団が立ちはだかりました。ここでは、ルフィたちと激闘を繰り広げた主な敵海賊団を深掘りしてご紹介します。
アルビダ海賊団
船長: 金棒のアルビダ(懸賞金:不明)
ルフィが海に出て最初に出会った海賊。巨大なトゲ付きの金棒を軽々と振り回す怪力の女船長で、「この海で一番美しいもの」を自称するナルシストです。その価値観に反するものは部下であろうと容赦なく殴りつけます。ルフィに敗北後、悪魔の実「スベスベの実」を食べたことで、摩擦を一切受け付けない滑らかな肌を持つ絶世の美女へと変貌。ルフィへの復讐を誓い、ローグタウンでバギーと手を組み再登場します。
バギー海賊団
船長: 道化のバギー(懸賞金:1500万ベリー)
悪魔の実「バラバラの実」の能力者。「特製バギー玉」という大砲でオレンジの町を破壊し、住民を恐怖で支配していました。自身の赤くて丸い鼻を指摘されると激昂する特徴があります。その正体は、かつて海賊王ゴール・D・ロジャーの船で見習いをしていた過去を持ち、四皇〝赤髪のシャンクス〟とも浅からぬ因縁があります。幹部には「猛獣使いのモージ」と「曲芸のカバジ」がおり、サーカス団のような派手なパフォーマンスを好みますが、やることは極めて残忍です。
クロネコ海賊団
元船長: 百計のクロ(懸賞金:1600万ベリー)
3年前に自身の死を偽装し、表舞台から姿を消した知能犯。平和な生活と莫大な財産を手に入れるため、カヤの屋敷に執事「クラハドール」として潜伏していました。計画の邪魔になる者は誰であろうと容赦なく消す冷酷非道な性格で、音を消して高速で移動する暗殺術「杓死(しゃくし)」の使い手です。彼の計画を遂行するため、副官であった“1・2のジャンゴ”もクロの計画に加担し、クロネコ海賊団の前線で戦いました。
クリーク海賊団
提督: 首領・クリーク(懸賞金:1700万ベリー)
50隻の艦隊と5000人の部下を率いる、イーストブルー最大・最強と謳われた海賊艦隊のボス。全身に無数の武器を仕込んだ「ダマし討ち」を得意とし、その武力と卑劣な手段でイーストブルーの覇者として君臨していました。「偉大なる航路」に挑戦するも、“鷹の目”ミホークによって艦隊は壊滅状態に追い込まれ、生き残ったクリークはバラティエへと漂着します。生き残った部下と共に逃げ延びた先で海上レストラン・バラティエの乗っ取りを画策しますが、ルフィたちの前に敗れ去りました。
アーロン一味
船長: ノコギリのアーロン(懸賞金:2000万ベリー)
魚人族だけで構成された海賊団の船長で、イーストブルー編における最大の敵。タイヨウの海賊団の元幹部であり、人間を「下等種族」として激しく見下しています。生まれながらに人間を遥かに凌駕する身体能力と、万物を噛み砕く強靭な顎、そして「ノコギリザメ」の名の通り巨大な斬馬刀を武器とします。自身の根城「アーロンパーク」を拠点に、周辺の島々を10年近く支配し、ナミを含む住民たちに重税を課して絶望の淵に追い込みました。
まとめ
TVアニメ『ONE PIECE』のイーストブルー編は、壮大な物語のまさに「原点」です。ルフィがたった一人で海へ飛び出し、かけがえのない仲間たちと出会い、それぞれの夢を背負って「偉大なる航路」を目指す姿は、何度見ても胸が熱くなります。
個性豊かなキャラクター、手に汗握るバトル、そして仲間との絆を描く感動的なストーリー。これから『ONE PIECE』を見始める方はもちろん、長年のファンの方も、この始まりの物語をもう一度振り返ってみてはいかがでしょうか。伝説の冒険は、ここから始まったのです。