
『ONE PIECE』の数あるエピソードの中でも、特に「泣ける」と名高い「ドラム島編」。トニートニー・チョッパーと麦わらの一味の出会いを描いたこの感動の物語が、新たな要素を加えて劇場版『ONE PIECE THE MOVIE – エピソードオブチョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜』として2008年に生まれ変わりました。本作の魅力を、あますところなくご紹介します。
作品の概要
劇場版『ONE PIECE THE MOVIE – エピソードオブチョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜』は、2008年3月1日に公開された、アニメ「ONE PIECE」の劇場版シリーズ第9作目にあたる作品です。原作漫画の「ドラム島編」をベースにしながらも、「パラレルワールド」という設定を取り入れ、原作の時系列とは異なる麦わらの一味のメンバー構成で物語が展開されるのが大きな特徴です。
後に麦わらの一味の船医となるトニートニー・チョッパーの誕生秘話、そしてDr.ヒルルクとの絆を描いた感涙の物語が、劇場版ならではのダイナミックな映像と新たな解釈で描かれています。そのクオリティの高さは、第32回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞にノミネートされたことからも伺えます。
ストーリー
偉大なる航路(グランドライン)をゆく麦わらの一味。しかし、航海士のナミが原因不明の高熱で倒れてしまいます。一行は医療を求めて、かつて医療大国と呼ばれた冬島「ドラム王国」へと向かいます。
ところが、ドラム王国は元国王ワポルの圧政により医療崩壊状態に陥っており、残る医者は雪深いドラムロックの山頂に住む「魔女」Dr.くれはただ一人。ナミの命を救うため、ルフィはナミを背負い、吹雪舞う険しい雪山を登り始めます。
想像を絶する困難の末、山頂にたどり着いたルフィたちが出会ったのは、青っ鼻のトナカイ人間、トニートニー・チョッパーでした。Dr.くれはのもとで医術を学ぶチョッパーには、人間からもトナカイからも疎外された悲しい過去と、亡き恩人Dr.ヒルルクとの忘れられない約束がありました。
そんな中、国外逃亡していたワポルが、兄であり映画オリジナルキャラクターのムッシュールを伴って帰還。王国を再び手中に収めようと攻撃を開始します。ルフィと麦わらの一味は、チョッパーやDr.くれは、そしてヒルルクの遺した夢を守るため、ワポル軍に立ち向かいます。果たして、彼らはワポルの野望を打ち砕き、ドラム島に「奇跡の桜」を咲かせることができるのでしょうか。
予告編
登場人物
本編のキャラクター
おなじみの麦わらの一味に加え、ドラム島編の中心人物、そして映画オリジナルの強敵が登場します。
- モンキー・D・ルフィ (声: 田中真弓) 麦わらの一味の船長。ナミを救うため、そしてチョッパーの心を動かすため、熱い想いで戦います。
- ロロノア・ゾロ (声: 中井和哉) 一味の戦闘員である剣士。
- ナミ (声: 岡村明美) 一味の航海士。本作では病に倒れ、物語のきっかけとなります。
- ウソップ (声: 山口勝平) 一味の狙撃手。
- サンジ (声: 平田広明) 一味のコック。
- トニートニー・チョッパー (声: 大谷育江) 本作の主役。ヒトヒトの実を食べた青っ鼻のトナカイ。心優しき船医見習いです。
- ニコ・ロビン (声: 山口由里子) 麦わらの一味の考古学者。本作では「パラレルワールド」設定により、ドラム島編に登場します。
- フランキー (声: 矢尾一樹) 麦わらの一味の船大工。同じく「パラレルワールド」設定により登場。
- Dr.くれは (声: 野沢雅子) ドラム島唯一の医者で、チョッパーの師。通称「ドクトリーヌ」。
- Dr.ヒルルク (声: 牛山茂) チョッパーの心の師であり、名付け親。故人。「人の心の病」を治すため、桜の研究に生涯を捧げました。
- ドルトン 元ドラム王国衛兵隊長。ワポル追放後、国民に推され国の指導者となります。(本作での活躍は限定的)
- ワポル (声: 島田敏) ドラム王国の元国王。バクバクの実の能力者。自己中心的で残虐な性格です。
オリジナルキャラクター
- ムッシュール (声: みのもんた(特別出演)) ワポルの兄として登場する映画オリジナルキャラクター。ノコノコの実の能力者で、毒キノコの胞子を操り麦わらの一味を苦しめます。
制作スタッフ
- タイトル: ONE PIECE THE MOVIE – エピソードオブチョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜
- 原作・企画協力: 尾田栄一郎
- 監督: 志水淳児
- 脚本: 上坂浩彦
- キャラクターデザイン・総作画監督: 舘直樹
- 公開日: 2008年3月1日
- 上映時間: 約113分
- 音楽: 田中公平、浜口史郎
- 主題歌: DREAMS COME TRUE「またね」
- 原画: 舘直樹 ほか
- 製作: 「2008 ワンピース」製作委員会(東映、東映アニメーション、集英社、フジテレビジョン、バンダイ)
- 製作会社: 東映アニメーション
- アニメーション制作: 東映アニメーション
- 配給: 東映
- 興行収入: 9.2億円
主題歌: DREAMS COME TRUE「またね」
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まとめ
劇場版『ONE PIECE THE MOVIE – エピソードオブチョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜』は、チョッパーとDr.ヒルルクの絆、そして麦わらの一味に新たな仲間が加わる感動の瞬間を、映画ならではのスケールと新たな視点で描いた珠玉の一作です。「パラレルワールド」設定により、原作ファンも新鮮な気持ちで楽しむことができ、映画オリジナルキャラクターのムッシュールや、DREAMS COME TRUEによる心温まる主題歌「またね」も作品の魅力を一層高めています。
「人はいつ死ぬと思う? …人に忘れられた時さ!」というDr.ヒルルクの名言と共に、本作が描く「冬に咲く奇跡の桜」の物語は、観る者の心に深く刻まれ、何度でも感動を呼び起こすことでしょう。『ONE PIECE』を語る上で欠かせない、涙と希望の物語をぜひご堪能ください。