
作品の概要
2022年8月6日に公開された『ONE PIECE FILM RED』は、劇場版『ONE PIECE』シリーズの第15作目にあたります。原作者である尾田栄一郎先生が総合プロデューサーを務め、監督は『コードギアス』シリーズなどで知られる谷口悟朗氏、脚本は映画『キングダム』や『ONE PIECE FILM GOLD』も手掛けた黒岩勉氏が担当しました。
本作は、世界の歌姫として絶大な人気を誇る新キャラクター「ウタ」を巡る物語です。彼女の歌声と、長年謎に包まれていた「赤髪のシャンクス」の本格的な登場が大きな注目を集め、シリーズ最高の興行収入を記録する大ヒット作となりました。音楽を物語の重要な要素として前面に押し出した斬新な構成も特徴で、まるでライブ会場にいるかのような臨場感が多くの観客を魅了しました。
ストーリー
世界中で愛される歌姫ウタ。彼女が初めて公の前に姿を現すライブが、音楽の島エレジアで開催されることになった。会場は熱狂的なファンや海賊、そして海軍までもが集い、熱気に包まれていた。ルフィ率いる麦わらの一味も、ウタの歌声を楽しみに会場を訪れる。
しかし、ライブが始まると、ウタが「シャンクスの娘」であるという衝撃的な事実が発覚する。ウタは「歌で世界を幸せにする」という純粋な願いを抱いていたが、その裏には悲しい過去と、世界を巻き込む壮大な計画が隠されていたのだった。
ウタの持つ特殊な能力によって、人々は夢のような「ウタワールド」へと誘われる。だが、それは現実世界との大きな軋轢を生み、ルフィたちはウタを止めようと奔走する。ウタの過去を知る謎の人物ゴードン、そして父であるシャンクス。彼らの想いが交錯する中、物語は誰も予想しなかった方向へと進んでいく。果たして、ウタの願いが目指す「新時代」とは何なのか。そして、ルフィとシャンクスは、この事態にどう立ち向かうのだろうか。
予告編
登場人物
本編のキャラクター
- モンキー・D・ルフィ(CV: 田中真弓) 麦わらの一味の船長。自由を愛し、仲間を何よりも大切にする。本作のヒロインであるウタとは幼馴染であり、彼女の「新時代を創る」という夢を応援していた過去を持つ。ウタの計画と彼女の苦悩を知り、友として全力で向き合おうとする。
- ロロノア・ゾロ(CV: 中井和哉) 麦わらの一味の戦闘員で、三刀流の剣士。クールな振る舞いの裏に熱い闘志を秘める。一味の危機には率先して身体を張り、強大な敵にも臆することなく立ち向かう。ウタが引き起こす騒動の中で、その剣技を振るう。
- ナミ(CV: 岡村明美) 麦わらの一味の航海士。天候を読む才能と、お金に目がない一面を持つ。ウタのライブの異変にいち早く気づき、状況を把握しようと努める。仲間を想う気持ちは強く、危機的状況でも持ち前の機転で活路を見出そうとする。
- ウソップ(CV: 山口勝平) 麦わらの一味の狙撃手。臆病な面もあるが、仲間のためなら勇気を振り絞って戦う。手先が器用で、独自の武器「黒カブト」から多彩な弾を発射する。ウタのライブ会場でも、その狙撃の腕を活かす場面があるかもしれない。
- サンジ(CV: 平田広明) 麦わらの一味のコックで、足技の達人。女性に目がなく、ウタの美貌と歌声にも当然のように魅了される。騎士道精神にあふれ、レディであるウタを傷つける者には容赦しない。一味の胃袋を満たす料理の腕も健在。
- トニートニー・チョッパー(CV: 大谷育江) 麦わらの一味の船医。ヒトヒトの実を食べたトナカイ。純粋で心優しく、仲間が傷つけば医者として献身的に治療にあたる。ウタの歌に心を躍らせるが、事態が緊迫するにつれて船医としての使命感に燃える。
- ニコ・ロビン(CV: 山口由里子) 麦わらの一味の考古学者。冷静沈着で博識。歴史の謎を解き明かすことを追求しており、ウタの過去やエレジアの秘密にも関心を寄せる。ハナハナの実の能力を駆使し、情報収集や戦闘で活躍する。
- フランキー(CV: 矢尾一樹) 麦わらの一味の船大工で、自身の体を改造したサイボーグ。「変態」であることを誇りに思う陽気な性格。ウタのライブステージの仕掛けや、エレジアの技術に興味津々。いざという時には頼りになる兄貴分。
- ブルック(CV: チョー) 麦わらの一味の音楽家。ヨミヨミの実の能力者で、一度死んで骨だけの姿で蘇ったガイコツ剣士。音楽を愛する者としてウタの才能に敬意を払いつつ、彼女の行動の裏にある悲しみを感じ取る。ソウルフルな演奏と剣技で戦う。
- ジンベエ(CV: 宝亀克寿) 麦わらの一味の操舵手。元王下七武海の一人で、魚人空手の達人。義理人情に厚く、冷静沈着な判断力で一味を支える。ルフィの決断を尊重し、その危機には身を挺して助太刀する頼れる存在。
- シャンクス(CV: 池田秀一) 赤髪海賊団の大頭で、四皇の一人。ルフィが海賊を目指すきっかけとなった憧れの存在であり、ウタにとっては育ての親。ウタの身に起きた悲劇と深く関わっており、彼女を止めるために、そして守るために行動する。その圧倒的な存在感と実力は健在。
- ベン・ベックマン(CV: 田原アルノ) 赤髪海賊団の副船長。シャンクスの右腕として絶大な信頼を得ており、高い知性と戦闘力を兼ね備える。常に冷静沈着で、的確な判断でシャンクスを補佐する。
- ヤソップ(CV: 小林通孝) 赤髪海賊団の狙撃手で、ウソップの父親。陽気な性格だが、狙撃の腕は超一流。息子のウソップの活躍を遠くから見守っている。
- ラッキー・ルウ(CV: 土門仁) 赤髪海賊団の幹部。常に肉を片手に持っている食いしん坊だが、戦闘能力は非常に高い。陽気なムードメーカーでもある。
- コビー(CV: 土井美加) 海軍本部大佐(本作登場時)。かつてルフィに助けられ、海兵として正義を貫くことを誓った青年。著しい成長を遂げ、ヘルメッポと共にウタの事件解決に尽力する。
- ヘルメッポ(CV: 永野広一) 海軍本部少佐(本作登場時)。コビーの相棒であり、共に成長してきた。かつてのわがままな姿はなくなり、真摯に任務に取り組む。
- トラファルガー・ロー(CV: 神谷浩史) ハートの海賊団船長。「死の外科医」の異名を持つ。オペオペの実の能力者。独自の目的でエレジアを訪れており、麦わらの一味とは時に協力し、時に距離を置きながら事態の推移を見守る。
- バルトロメオ(CV: 森久保祥太郎) バルトクラブ船長。麦わらの一味、特にルフィの熱狂的なファン。バリバリの実の能力者で、防御壁を作り出す。憧れのルフィ先輩のためなら、どんな危険も顧みない。
- シャーロット・カタクリ(CV: 杉田智和) ビッグ・マム海賊団の将星の一人で、シャーロット家次男。モチモチの実の能力者。冷静沈着で高い戦闘力を誇るが、家族や仲間に対する情は厚い。ウタの騒動に弟のオーブンと共に介入する。
- シャーロット・オーブン(CV: 木村雅史) ビッグ・マム海賊団のシャーロット家四男。ネツネツの実の能力者で、高熱を操る。短気で好戦的な性格。兄カタクリと共にエレジアに現れる。
- ブルーノ(CV: 佐々木誠二) CP‐0の諜報部員。ドアドアの実の能力者。かつてCP9として麦わらの一味と敵対したが、本作では世界政府の指示で動いている模様。
- カリファ(CV: 進藤尚美) CP‐0の諜報部員。アワアワの実の能力者。ブルーノ同様、かつてCP9として麦わらの一味と敵対。本作でも冷静に任務を遂行する。 その他、多数のキャラクターが登場します。
オリジナルキャラクター
- ウタ(CV: 名塚佳織/歌唱パート: Ado) 本作のヒロインであり、世界の歌姫。素性を隠して活動していたが、初のライブでその姿を現す。「シャンクスの娘」という過去を持ち、歌で世界に平和をもたらす「新時代」を創ろうと願っている。幼い頃にルフィと出会い、共に過ごした思い出を持つ。
- ゴードン(CV: 津田健次郎) かつて音楽の島エレジアを治めていた元国王。シャンクスが去った後、幼いウタを引き取り育ての親となる。ウタの過去と彼女の持つ能力の秘密を知る重要人物であり、彼女の行く末を深く案じている。
- ロミィ(CV: 新津ちせ) ウタの熱狂的なファンである少女。ウタのライブに目を輝かせて参加する。
- ヨルエカ(CV: 梶裕貴) ウタのライブに参加する羊飼いの少年。ウタの歌声に魅了されている。
制作スタッフ
- 原作・総合プロデューサー: 尾田栄一郎 (集英社 週刊「少年ジャンプ」連載)
- 監督: 谷口悟朗
- 脚本: 黒岩勉
- キャラクターデザイン・総作画監督: 佐藤雅将
- 美術監督・美術設定: 加藤浩
- 色彩設計: 横山さよ子
- CGディレクター: 川崎健太郎
- 撮影監督: 江間常高
- 製作担当: 吉田智哉
- 公開日: 2022年8月6日
- 上映時間: 115分
- 音楽: 中田ヤスタカ
- 主題歌: Ado「新時代」
- 劇中歌: Ado「私は最強」「逆光」「ウタカタララバイ」「Tot Musica」「世界のつづき」「風のゆくえ」
- 製作: 「ONE PIECE FILM RED」製作委員会(東映、集英社、フジテレビジョン、バンダイナムコエンターテインメント、バンダイ、ADKマーケティング・ソリューションズ、東映アニメーション)
- 製作会社: 東映アニメーション
- 配給: 東映
- リリース年: 2022年
興行収入
- 国内最終興行収入: 203.3億円(2023年11月時点、アンコール上映含む)
- 全世界興行収入: 319億円(2023年1月時点)
- 2022年 年間興行収入ランキング第1位
受賞歴・反響
- 第46回日本アカデミー賞:優秀アニメーション作品賞、話題賞(作品部門)、特別賞(音楽チーム)
- 第40回ゴールデングロス賞:最優秀金賞
- 第64回日本レコード大賞:優秀作品賞(「新時代」)
- MTV VMAJ 2022:Song of the Year(最優秀楽曲賞)(「新時代」)
- Yahoo!検索大賞2022:アニメ部門1位
- ネット流行語100 2022:年間大賞(ウタ)
- Filmarks Awards 2022:映画部門 アニメ作品賞 第1位
観客からは、Adoの歌唱パフォーマンスやライブ感のある演出、シャンクスの活躍などを称賛する声が多く上がる一方で、音楽に比重を置いた構成やウタのキャラクター設定に対しては様々な意見も見られました。総合的には非常に高い注目を集め、社会現象とも言える盛り上がりを見せた作品です。
主題歌: Ado「新時代」
関連URL
- 映画『ONE PIECE FILM RED』公式サイト: https://www.onepiece-film.jp/
- ピクシブ百科事典「ONE PIECE FILM RED」: https://dic.pixiv.net/a/RED(ONEPIECEの映画)
- ピクシブ百科事典「ウタ(ONEPIECE)」: https://dic.pixiv.net/a/ウタ(ONEPIECE)
まとめ
『ONE PIECE FILM RED』は、これまでの劇場版シリーズの魅力を踏襲しつつ、音楽という新たな要素を大胆に取り入れ、エンターテイメントとして大きな成功を収めた作品です。ウタという魅力的な新キャラクターを中心に、ルフィやシャンクスといった人気キャラクターたちが織りなすドラマは、多くの観客の心を揺さぶりました。
Adoが歌う数々の名曲は映画の枠を超えてヒットし、作品の世界観をより深く、鮮やかに彩っています。まだご覧になっていない方はもちろん、既に劇場で体感された方も、配信サービスなどで改めてこの感動を味わってみてはいかがでしょうか。